歯科医院の治療といえば、痛いイメージがつきものです。
そのため、口内に何らかの症状が出ても、歯科医院を受診せずに放置する人も少なくありません。
早い段階での歯科治療を妨げていた「治療時の痛み」ですが、最近では「無痛治療」という治療があることをご存じでしょうか。
治療に対して痛いイメージがある人も受診しやすくなりそうですが、本当に無痛なのかと疑問を抱く人もいるかもしれません。
無痛治療は本当に無痛なのか解説します。
●本当に痛みが無い治療なの?
「無痛治療」という言葉から、痛みが全く無い治療だとイメージする人もいるかもしれませんが、正確には「痛みを最大限に抑えて行われる治療」です。
まったく痛みが生じないわけではないため、無痛治療という言葉は、少々誇張した表現といえるかもしれません。
しかし、痛みができるだけ抑えられた治療は、患者さんの心や身体の負担を可能な限り少なくできるのです。
歯科治療に対するトラウマがある患者さんや毛嫌いしている患者さんでも、尻込みせずに安心して治療を受けられるでしょう。
●無痛治療の具体例
無痛治療では、具体的にどのようなことを行うのでしょうか?
虫歯治療を例に、解説します。
無痛治療では、麻酔液を歯茎の表面に塗り込み表面麻酔を行います。
ガーゼなどを使って表面麻酔を歯茎に塗り込むため、痛みなく麻酔ができるのです。
唾液と混ざらないようにしておき、数分待って麻酔が効果を発揮するのを待ちます。
次に、極めて細い注射針で歯茎に麻酔液を注入します。
注射針は細いほど、歯茎に刺したときの痛みが軽減されるのです。
このとき、電動注射器を使用すると均等な圧で麻酔液を注入できるため、圧による痛みも軽減されます。
しかし、前述した無痛治療を行ったとしても、虫歯治療に対してトラウマがある患者さんの不安は払拭できないかもしれません。
その場合は、笑気ガスを併用して不安感を取り除く方法や、寝ている状態で行う静脈内鎮静法もあるため、治療の前に歯科医師に相談してみましょう。
麻酔以外の無痛治療における虫歯治療では、マイクロスコープを使用することがあります。
肉眼では確認できないような患部の精密な治療も行うことが可能であるため、痛みを最小限に抑えることができるのです。
虫歯治療でレーザーを用いた治療が行われるケースでは、ほとんどの場合で痛みが軽減されるため、麻酔薬を注入することがありません。
歯を削る不快な音に対して、嫌悪感がある患者さんの精神的負担を減らすことが可能です。
●まとめ
最近、「無痛治療」という治療が歯科医院で行われていますが、残念ながら全く痛みのない治療ではありません。
正確には「痛みを最大限に抑えて行われる治療」です。
しかし、痛みを最大限に抑えた無痛治療であれば、歯科治療に対するトラウマがある患者さんや毛嫌いしている患者さんでも安心して治療を受けられるでしょう。
「歯科治療に対するトラウマがあるものの、口内に何かしらの症状があるため、歯科医院に行かなければならない」などの場合は、無痛治療を行っている歯科医院を選び受診しましょう。