虫歯の治療をするとき、虫歯が進行していると神経を抜くケースもあります。
神経を抜いた歯は栄養を得られず脆くなるため、最近では歯を守るためにも神経を抜かない治療を行う歯科医院が増加しているようです。
今回は、神経を残すことができるMTAセメント治療と、その治療内容について解説します。
●MTAセメント治療とは?
MTAセメント治療とは、MTAセメントを使用することで、虫歯が神経に達しても神経を残すことができる治療法です。
MTAセメント治療の特徴は次のとおりです。
密閉性が高い
(水と強く練りこんだ後に硬化し、わずかに膨張することで高い密閉性を発揮する)
殺菌力が高い
(強アルカリ性(pH12)で、ほとんどの細菌を死滅させることが可能)
生体親和性が高い
(体の中に入れても悪影響があまりない、体にやさしい素材)
親水性が高い
(水分に対して高い親和性を持っているため、多少の水分がある環境下でも問題なく適切な処置が可能)
ただし、MTAセメント治療で使用されるMTAセメントには保険が適用されないため、自己負担となります。
治療内容によっては適応しない場合もあるため、適応できるかどうかは歯科医師に相談しましょう。
●MTAセメント治療を行うケースの流れ
MTAセメント治療を行う場合の治療の流れは、主に以下のようになります。
1. ラバーダムを用いて患部に細菌が入るのを防ぐ
2. 虫歯に感染している部分を除去し、歯の奥にある歯髄を露出させる
3. 歯髄にある神経が、生活反応を示すか確認
4. 反応があれば露出している部分をMTAセメントで覆う
5. 被せものや詰めものを作製後装着したら治療完了
ただし、治療完了後も経過観察をして、歯の神経がしっかりと生活反応を示すかをチェックする必要があるでしょう。
MTAセメント治療は、歯の根の治療をする根管治療よりも治療回数を減らすことができます。
歯の寿命を延ばせるというメリットもあるのです。
しかし、全ての症例で行えるわけではないため、希望しても対応してもらえないケースもあります。
MTAセメントは高価なため、金銭的負担が大きくなるというデメリットがあることも知っておきましょう。
●まとめ
虫歯の治療で歯の神経を除去すると、歯は死んでしまいます。
歯を長く使用するためには、神経を残しておかなければなりません。
神経を残せる治療として注目されているのが、MTAセメント治療です。
神経に生活反応がある場合は、MTAセメント治療が可能です。
MTAセメントは、体の中に入れても悪影響があまりない、体にやさしい素材です。
そのため、安心して治療を受けられるでしょう。
ただし、全ての症例で行えるわけではないため、希望する場合は歯科医師に相談しましょう。