歯周病は、全身に影響を及ぼす口腔疾患として知られています。
そのため、発症しているにもかかわらず放置していると、思ってもみない症状が現れることがあります。
また、歯周病は筋肉とも意外な関係性を持っています。
今回は、こちらの内容について解説します。
骨格筋の糖の取り込み低下と糖尿病の悪化
歯周病菌が体内に侵入すると、骨格筋における代謝異常が引き起こされます。
東京医科歯科大学などの研究により、歯周病菌の感染が筋肉の炎症関連遺伝子を上昇させることが判明しました。
これにより筋肉での糖の取り込みが阻害され、インスリンの働きが弱まるインスリン抵抗性が生じます。
筋肉は体の中でもっとも多くの糖を消費する組織であるため、その機能が低下すると血糖値のコントロールが著しく困難になり、糖尿病などの悪化へと直結します。
つまり口内環境が悪いと、どれだけ食事制限をしても筋肉が糖をうまく消費できなくなってしまうということです。
健康的な糖代謝を維持し、生活習慣病を防ぐためには、日頃からの適切な歯周病治療が極めて重要な意味を持ちます。
慢性炎症による筋肉の萎縮
歯周病は、口の中で慢性的にボヤのような炎症が続いている状態です。
この局所の慢性炎症は、血流を通じて全身に炎症性物質を拡散させます。
近年、この慢性炎症が全身の筋肉量や筋力が低下するサルコペニアの危険性を高めることが明らかになってきました。
研究では、歯周病の炎症によって筋肉のタンパク質合成が抑制され、逆に分解が促進される可能性が示唆されています。
特に高齢期において筋肉量が減少すると、歩行困難や転倒のリスクが増加し、要介護状態の一歩手前であるフレイルへと進行しやすくなります。
歯周病を放置することは、自覚がないまま全身の筋肉を痩せ衰えさせる隠れた原因になり得るため、口腔衛生を保つことが将来の歩行機能を守ることにつながります。
咀嚼筋の衰えと口腔機能の低下
歯周病が進行すると、歯を支える土台である歯槽骨が溶けてしまい、歯がグラついたり抜け落ちたりします。
これによって物をしっかりと噛むことができなくなると、顎を動かす咬筋や側頭筋などの咀嚼筋を使う機会が激減します。
筋肉は使わなければ急速に衰えるため、噛む力がさらに低下するという悪循環に陥ります。
咀嚼筋の衰えは、硬いものが食べられなくなる原因となり、やわらかい糖質中心の食事に偏ることで低栄養状態を招きます。
また口まわりの筋肉が弱まると、滑舌が悪くなったり、表情が乏しくなったりする口腔機能低下症を引き起こします。
噛む筋肉を維持することは、全身へ栄養を行き渡らせるための基本であり、その土台を崩す最大の敵が歯周病です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・歯周病によって口内環境が悪化すると、どれだけ食事制限をしても筋肉が糖をうまく消費できなくなってしまう
・歯周病に伴う慢性炎症は、全身の筋肉量や筋力が低下するサルコペニアの危険性を高める
・歯周病でものを噛むのが困難になると、顎を動かす咬筋や側頭筋などの咀嚼筋を使う機会が激減する
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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