虫歯治療中は、ドリルで歯を削りつつ、同時にバキュームを口内に入れて水分や削りカスなどの吸い取りを行います。
では、吸い取りを行わずに虫歯治療を行うと、どのような弊害が生まれるのでしょうか?
今回は、吸い取りを行わないことの影響とリスクについて解説します。
唾液による接着力の低下
虫歯治療で使う詰め物や被せ物は、歯の表面に特殊な歯科用接着剤を用いて強固に固定します。
しかし、この接着剤は水分に対して非常に弱いというデリケートな性質を持っています。
バキュームで唾液を確実に吸い取らないと、歯の表面に目に見えない微細な湿気や水分が残ってしまい、接着力が大幅に低下します。
その結果、治療が終わってからあまり時間が経っていないのにもかかわらず、詰め物が外れてしまったり、隙間から虫歯菌が侵入して二次虫歯を引き起こしたりします。
長期にわたって治療を長持ちさせ、確実な接着効果を得るためには、口の中を完全に乾燥した状態に保つ防湿処置が絶対に不可欠です。
削りカスの誤嚥、誤飲リスク
歯を削る際には、目に見えないほど細かな歯の粉末、過去に治療した古い金属の破片、除去された虫歯組織など、非常に多くの削りカスが発生します。
これらをバキュームで瞬時に吸引して排除しないと、患者さんが治療中に誤って飲み込んでしまう誤飲のリスクが急激に高まります。
さらに深刻な問題となるのは、それらの異物が食道ではなく気管に入り込んでしまう誤嚥の発生です。
特に口周りの筋肉や反射機能が低下している方や、喘息などの呼吸器系に持病をお持ちの患者さんの場合、誤嚥性肺炎という命に関わるような疾患を引き起こすおそれがあります。
注水による溺れ、窒息感
歯科用のドリルは毎分数十万回転という超高速で回転するため、摩擦熱によって歯の神経がダメージを受けないよう、大量の冷却水を出しながら削る仕組みになっています。
この水をバキュームでリアルタイムに排出しなければ、口の中は一瞬にして水で満たされてしまいます。
仰向けの姿勢のまま水が溜まると、患者さんは息ができなくなり、まるで溺れているかのような強い恐怖感や窒息感を覚えることになります。
精神的なパニックに陥り、苦しさのあまり治療中に急に頭を動かしてしまうと、鋭利な器具が唇や歯茎などの粘膜に接触し、大きな怪我につながる二次災害のリスクも高まります。
こまめな水分吸引は、安全のために必須です。
この記事のおさらい
今回の記事のポイントは以下になります。
・バキュームで唾液を吸い取らないと、微細な湿気や水分が残ってしまい、補綴物の接着力が大幅に低下する
・削りカスを吸引して排除しないと、患者さんが治療中に誤って飲み込んでしまう誤飲や誤嚥のリスクが高まる
・口内に水が溜まると、患者さんは息ができなくなり、恐怖感や窒息感を覚える
以上のポイントはしっかりと押さえておきましょう!
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